綾屋紗月さんの結婚、離婚

綾屋紗月さんは自分の心身の状態を考え、外では働けないことを悟り、結婚して主婦となり、家庭に入ります。

しかし、次第に夫は酒浸りとなり、DVが始まってしまいます。

その地獄から抜け出すために、綾屋紗月さんにはいくつかの助けが必要でした。

まず、自分のアスペルガー症候群、発達障害といった障害とDVを切り離すこと。

つまり、綾屋紗月さん自身の抱える障害が本質的な原因となってDVが引き起こされたのではない、ということを理解することです。

綾屋紗月さんの「発達障害当事者研究」はその努力の過程で生み出されたものでした。

次に、フェミニズムやDVの理論などの自分の味方になってくれる考え方・観点を知り、自分の置かれた状況を自分自身に寄り添いながら把握することでした。

そして、最後にはやはり、生身の人間である周囲の人たちの、暖かく粘り強いサポートが最大の味方になりました。

これらの理論や周囲の人たち、そして自分自身の努力により、長い時間をかけて、ようやく離婚を決意し、DVから逃れることができたといいます。

綾屋紗月さんは夫からの数々の言葉の暴力により、「自分は虐げられて当然の人間なんだ」と思い込まされてしまっており、その一種の洗脳から解放されるのにこれほど多大な努力を要したのですね。

それは綾屋紗月さんに限らず、DVを受け、それを克服した人たちすべての人たちに共通する過程なのかもしれませんが、綾屋紗月さんの場合は障害のこともあり、一層困難な道程だったに違いありません。

しかし、だからこそ「発達障害当事者研究」のような、後に続く当事者たちの道しるべとなる、素晴らしい研究が生み出されたのでしょうね。

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