坪内千佳さんと萩大島船団丸

坪内千佳さんの特許事務所での業務は、単に翻訳するだけでなく、学生時代のカリスマ販売員の経歴を活かして、コンサルタントも兼ねていました。

そして、仕事を通じて地元の漁師と知り合い、漁獲高が減少し、傾きつつある萩の漁業の現状をなんとかするように依頼されます。

そうやって設立されたのが「萩大島船団丸」でした。

当初は代表になるつもりはなく、あくまで6次産業化のための事業計画を作成するという依頼だったのですが、漁師たちは労務や法務など、漁以外のことは何もできなかったため、乞われて代表に就任することになりました。

坪内千佳さんの方も、息子の故郷でもある萩を守らなければならないと覚悟を決めていたので、ためらうことなく引き受けたのだそうです。

ただ、当初はなかなかうまくいかなかったようです。

坪内千佳さんは漁業の6次産業化を目指していましたが、肝心の漁師たちの意識が当初はまったくついて行かなかったのです。

坪内千佳さんの事業計画の大きな柱として、鮮魚を船上で箱詰めして市場を通さずに直売する「鮮魚BOX」と、高級干物「船上一夜干し」「寒風一夜干し」の製造・販売がありました。

ところが、当時は魚を獲って市場に卸しておしまい、というのが当たり前だった漁師には、なかなか定着しなかったのです。

しかし、スーツをジャージに替え、土地の方言も覚えて、自分から率先して血抜きや箱詰めをやってみせるなど、根気よく漁師たちと接し、彼らに溶け込む努力をし、粘り強く率先垂範していくうちに、次第に漁師たちの意識も変わっていきました。

現在は萩大島船団丸の漁船も、最初の6隻から10隻にまで増え、取引先も100軒を超え、現在は150軒を視野に入れられるほどに勢いづいているといいます。

さらに、2014年には株式会社ギブリを設立し、坪内千佳さん自らが成功に導いたこの「萩モデル」の全国への水平展開を目指しています。

具体的には、他地域から見学に訪れる漁業関係者からの観光収入、またコンサルティング料などが見込め、また他のエリアの漁業者との連携も視野に入れているといいます。

最初は魚を獲ることしかできなかった漁師も、今では加工も販売もコンサルもできる「ハイブリッド漁師」として育っているといいます。

萩モデルが全国に定着すれば、日本の漁業は大きく変わることでしょうね。

それにしても、坪内千佳さんの行動力やパワフルさには舌を巻くばかりです。今後の展開に興味津々ですね。

以上、坪内千佳さんについてでした!